親知らず治療

親知らず(智歯)の痛みの原因

親知らずの痛みにはいくつかの原因が考えられます。以下は発生頻度が高いものから列挙します。発生頻度は文献として確認できないため、 1-8の序列はわたしの経験と感覚から判断したものです。賛否両論あるとはおもいますが、そのような「め」でみていただきますれば幸いです。

1.智歯周囲炎

親知らず(智歯)の歯ぐき(歯肉)の溝に汚れがあり、細菌感染して強い歯肉の炎症(智歯周囲炎)をおこします。智歯の痛みの大半はこれに起因します。

2.歯髄炎

智歯にう歯があり歯の神経や血管(歯髄)を刺激して、歯髄内の血管や神経の炎症(歯髄炎)をおこします。

3.根尖性歯周炎、顎骨嚢胞の感染、骨炎

智歯の神経が死んでしまい(壊死、壊疽)、歯根に骨を溶かす病巣や膿の袋(嚢胞)をつくり、これに細菌が感染して骨に炎症(骨炎)を起こします。

4.咬傷

親知らずに対合する歯ぐき(歯肉)や頬粘膜に咬みこんだ傷が生じ潰瘍やビランができます。

5.歯根膜炎

歯槽膿漏(辺縁性歯周炎)などで歯がぐらつき、噛む力に耐えられず歯根膜に炎症を発症します。

6.知覚過敏症

歯槽膿漏(辺縁性歯周炎)で歯肉退縮し、知覚過敏症を発症します。

7.口内炎

アフター性口内炎が智歯の近くに発症し、咬傷のようにみえることもあります。

8.腫瘍

周囲にできもの(腫瘍)ができ、周囲の骨を圧迫し、骨吸収を生じています。

親知らず(智歯)抜歯の方針

A:症状による治療基準

1.親知らず(智歯)のあたりが痛いだけで、歯肉はさほど腫れていない場合。

抜歯:基本的にいつでも抜歯可能です。
来院者の希望で投薬のみ(化膿止め;抗菌剤、痛み止め;鎮痛剤、胃薬)のこともあります。

2.智歯周囲の歯肉がかなり腫れ、のどが痛い、唾も飲み込みにくい、摂食障害、発熱など一部強い症状がある場合。

まず投薬(化膿止め;抗菌剤、痛み止め;鎮痛剤、胃薬、うがい薬;含そう薬)により炎症を抑えます。
必要により点滴もいたします。その数日後、あるいはそれ以降に抜歯します。

B:病態による治療基準

以下の場合には抜歯が好ましいと思われます。

1.歯肉や骨などの炎症が悪化する場合、あるいはその可能性がある場合

1.親知らず(智歯)が手前の歯(第二大臼歯)と同じように生えている、
あるいは智歯の一部だけがみえている状態で、歯磨きがうまくできずに食べかすが詰まったり、
う歯ができたり、歯石が沈着している場合。

2.智歯が横向きに生えていて手前の歯との間に隙間ができ細菌の繁殖場所となっている場合。

3.智歯が骨の中に埋まっているが手前の歯を圧迫している場合。

4.歯肉の溝が深く細菌の繁殖場所となり歯肉が腫れる場合。

2.親知らず(智歯あるいは第三大臼歯)の手前の歯(第二大臼歯)にう歯や歯周炎を発症させる場合。
3.歯列を乱し,歯列不正を生じさせる可能性がある場合。

当院では医学的判断だけでなく、来院者の生活背景を重視しながら方針を決定します。
週末も含め毎日診療しておりますので、土曜日曜日でも抜歯で きます。事前の予約で希望と同意があれば
初診当日でも埋伏抜歯を行うことができます。手術は経験豊富な熟練した口腔外科医(院長)がおこないます。

親知らずの抜歯の流れ -術前-

抜歯を含めた口腔外科手術の際には前日までにあらかじめ歯石除去や口腔内のクリーニングをおこないます。これは細菌の少ない状態をつくることにより、抜歯後の痛み、腫れ、感染防止を最小限に抑えるためです。

親知らずの抜歯の流れ -術中-

術式の簡単な説明

1.局所麻酔

注射時の痛みを和らげるために、塗り薬の表面麻酔をおこないます。その後、エピネフリン含有の2%キシロカインを歯肉に局所麻酔します。

2.歯肉歯槽粘膜の切開、剥離

歯が完全に出ていない場合には、歯を確認しやすいように、メスで歯肉粘膜を切開します。歯肉歯槽粘膜を剥離し、できる限り歯冠(歯の頭)を露出させます。

3.智歯の分割と骨削除

深く埋まっている場合には智歯と周囲の骨を専用のバーで削ります。智歯を削ることで骨の削除量を少なくすることができ、術後の腫れを少しでも抑えることができます。

4.抜歯

エレベーターと呼ばれている器具で抜歯します。

5.洗浄

抜歯したところを生理食塩水で洗浄し、歯の削りかすや古い血液唾液などの汚染物を洗い流します。

6.縫合

歯肉粘膜を切開した際には手前の歯に知覚過敏症が起こらないような工夫をしながら、最小限度の数の縫合をおこないます。縫合しすぎると血液の逃げ道がなくなりよく腫れる一因になります。

7.圧迫止血

抜歯後に出血しにくいようにガーゼを噛んで圧迫止血します。

8.抜歯後の注意事項(後述)を説明して、手術終了です。

手術時間

手術は経験豊富な熟練した口腔外科医(院長)がおこなえば、通常いわれている手術時間の半分以下の短時間で抜歯をおこなえます。
簡単な智歯抜歯なら1分以下、通常の埋伏智歯なら10分から20分、非常に困難な埋伏智歯でも約30分程度で抜歯できます。

親知らずの抜歯の流れ -術後-

1.病状の確認のために翌日に洗浄に来院いただきます。

2.抜歯1週間後に抜糸いたします。

麻酔の切れる時間帯の注意事項

麻酔液には麻酔効果を持続し、局所の出血を少なくするために、エピネフリンという薬が入っています。これは血管を収縮する役割を担っています。
麻酔が切れ始める頃には、この血管収縮薬の効果もなくなってくるため、細くなっていた血管が通常に戻ります。血液の流れがよくなり、傷口から血がにじんで きますが心配する必要はありません。たくさんにじんでくる場合には圧迫止血用のガーゼを噛んでください。ガーゼがない時には緑茶や紅茶のティ-パックをそ のまま噛んで代用してください。

術後に薬を飲むタイミング

麻酔が切れると痛みがでてきますので鎮痛剤を内服してください。理論的には抗菌剤はできるかぎり早めに内服したほうがよいのですが、現実的には圧迫止血ガーゼをはずした時に内服するのが妥当かと思います。

抜歯後の注意事項

・術後当日は運動と飲酒は控えて下さい。お風呂は浴槽に入らなければ、シャワー程度なら可能です。

・食事は麻酔がきれたらいつでも摂食可能です。ただ、辛いものなどの刺激物はできるだけ控えてください。

・術直後の数時間は冷やすといいでしょう。しかし、冷やしすぎると傷の回復が遅れます。また、腫れてから冷やすと固くなって、なかなか腫れがひいてきませんので注意してください。

・手術当日はうがいをしすぎないようにしてください。血のかさぶた(血餅)がとれて、血が止まりにくくなったり、非常にまれに血餅が流れたために骨炎になったりすることがあります。しかし、翌日からはよくうがいをしてください。

・喫煙は血管を収縮し、傷の治りを悪くします。極力、控えてください。

・一時的に口が開けにくくなることがありますが、これは抜歯時の出血が開閉する筋肉に波及したためで、血液はしだいに吸収され、顔の腫れがひく頃には改善していきます。

・歯磨きは手術後専用の歯ブラシを使用してください。当院で販売もしています。

・色白の女性にはごくまれに皮下出血(青アザ)がでることがあります。1週間ほどで黄色くなり、2週間で消失します。