2012年12月1日 森歯科医院 院長 森光伸
唾液は唾液腺体(唾液を作る本体)で作られ、唾液腺管(唾液が通るトンネル)を通じて口腔内の舌下部に排出されます。唾石はこの唾液線体や唾液腺管にできる石灰化物(石)です。
唾石が腺管を塞ぐと唾液の流れが悪くなり、時には唾液が逆流して、腺体や腺管が腫れることがあります。また、口腔内細菌に感染すると舌下部が発赤、腫脹、排膿、疼痛を伴うこともあります。摂食すると顎下部や口底が腫れ、経時的に正常に戻る場合はこれを疑ったほうがいいと思います。唾石症の治療は1)感染があればまず消炎。2)消炎後は基本的には摘出するのがいいと思います。
下の写真は当院で摘出した唾石です。
X線写真でみると比較的浅い部位にあるようにみえますが、実態はことなり比較的深い層に存在しました。
この症例ほどの大きな唾石なら浅層にあれば膨隆や腫脹がみられ、触診でも硬固物を触れそうです。しかし、それらの所見は認めませんでした。
実際には舌下腺に接するほど深い部位にあり、周囲軟組織との癒着もみられました。血管や神経も確認できるほでの層に存在しました。手術は局所麻酔下で口腔内からアプローチしております。手術時間は15分ほどで終了し、術後障害はいっさいなく、「長年の疼痛から解放され入院もせずにすんだ」と、患者様にも非常に喜ばれました。