歯の神経を温存する歯髄保存療法

歯髄とは?

歯髄は「歯の神経」とも呼ばれる、歯の内部にある神経や血管が集まる組織です。
歯髄は歯の根元から栄養を供給する重要な役割を担っています。温度や痛みなどの歯に伝わる刺激を感じ取れるのも、歯髄の働きのおかげです。

歯髄を残すメリット

大きなむし歯ができると歯髄を除去する治療を行う場合が多いですが、歯髄を残す治療には以下のようなメリットがあります。

歯髄を残すメリット

  • 食べ物や飲み物の温度を歯で感じられる
  • 痛みによってむし歯などの異常に気づくことができる
  • 歯の強度が維持され、割れにくく長持ちする
  • 歯の過度な変色を防ぐことができる

歯髄の有無で歯の寿命はどのくらい変わる?

歯髄を除去した場合、歯の寿命が約10年短くなるといわれています。
歯髄を取り除いた歯には栄養や水分が供給されなくなり、もろくなりがちです。生きている木の枝より枯れ枝の方が折れやすいように、歯髄を失った歯は破折のリスクが高まります。
また、むし歯の痛みは嫌なものですが、「むし歯ができている」と気づけるのは痛みを感じるおかげです。歯髄のない歯がむし歯になった場合、状態がかなり悪化するまで気づくのが難しくなります。

歯髄保存療法が適している人進行したむし歯でも歯の神経(歯髄)を残す一部自由診療

歯髄保存療法は、以下のような方に適しています。

歯髄保存療法が適している人

  • できる限り天然の歯を残したい方
  • 歯髄を取り除いたことによる歯の変色を防ぎたい方
  • 歯を削る量を最小限にとどめたい方
  • 将来の抜歯のリスクを低減したい方

むし歯が深く進行していても、歯髄を完全に取り除く必要がないケースでは歯髄保存療法が有効です。
ただし、すべてのケースで歯髄を温存できるわけではありません。たとえば、すでに歯髄までむし歯が到達して強い炎症がある場合や、神経が死んでしまっている場合などは、歯髄を取り除く必要があります。

MTAセメントを用いて歯髄を残す

MTAセメントを用いて歯髄を残す

当院では、歯髄を保存するために「MTAセメント」(自由診療)を使用しています。
むし歯を削った後に、歯髄と詰め物の間にMTAセメントを充填します。このセメントは殺菌性が高く、密閉力に優れ、細菌が歯髄に到達するのを防ぎ、歯髄を保護しながら再生を促進します。治療後も数日間痛みが出ることがありますが、患者さまの症状や痛みの程度を伺い、本当に歯髄を残すかどうかを一緒に判断しますのでご安心ください。
また、保険診療の水酸化カルシウムセメントも取り扱っていますので、患者さまの症状やご希望に合わせて最適な治療法をご提案いたします。
  • MTAセメントを使用した治療は自由診療です。治療費用:20,000円(税込)
  • リスク:症状によっては歯を残すことが難しい場合もあります。MTAセメントは治療後に痛みなどの症状が出る場合は、神経を取り除く治療が必要となることがあります。
  • 治療期間:約1~2ヶ月、治療回数:約3~4回
  • 治療の流れ:むし歯を除去したあと洗浄・消毒し、露出した歯髄をMTAセメントで封鎖。その後、詰め物等で修復します。

歯髄保存療法の流れ

精密検査

精密検査

デジタルレントゲンで、むし歯の進行状態や歯髄の位置を確認します。歯髄保存療法が適応できるかを慎重に判断し、適応が難しい場合は別の治療法をご提案いたします。

感染部分の除去

感染部分の除去

むし歯部分を慎重に取り除きます。歯髄を傷つけないように注意しながら、感染した部分のみを除去することで、歯の健康を最大限に守ります。

コーティング

コーティング

削った部分にMTAセメントを充填し、保険診療のプラスチック素材や自由診療のセラミックなどで補綴します。
数日間様子を見ていただき、我慢できないような痛みや、定期的に強く痛む場合はすぐにご相談ください。
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