2016年7月24日 滋賀県 草津市 森歯科医院 院長 森光伸
2016年7月13日にMonic Clubにて講演した「血栓の基礎知識と抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドラインの報告 – 2015年版&2010年版の概要 – 」の概要を4部にわけて報告いたします。
一般的な抗血小板薬について
抗血小板(薬)療法;・ 血管が閉塞されないように血栓形成を抑制する薬と療法・ 血小板凝集を阻害し、白色血栓を阻害する薬剤・ 動脈硬化巣での血栓形成を防止する。狭心症、心筋梗塞、脳梗塞など動脈で起こる血栓症に適応
<抗血小板薬の種類;薬理別分類>
1) トロンボキサンやプロスタグランジンに関与する薬剤;・アスピリン、バファリン、バイアスピリン
アスピリンは抗炎症薬として1899 年に市場に出てから100 年以上を経ている。約50
年前には抗血栓作用も示唆され、現在では抗血小板薬の中ではアスピリンの費用対効果が最も安価で100 年以上の試練に耐えてきた薬剤て、アスピリン以外の抗血小板薬は常にアスピリンと比較してより高い有用性が求められるようになっている。アスピリンはヘパリンとともに現在の冠動脈疾患の内科的薬物療法やインターベンション療法に必須の基本的な薬物 。血小板の働きを活発化するために必要なトロンボキサンA2を作るシクロオキシゲナーゼ(酵素)の働きを抑えることによって、血小板同士の結合、血小板の働きを活発にする物質の放出を抑える。
・プロスタグランジン製剤;PGE1誘導体製剤;・リマプロストアルファテクス(オパルモン®、プロレナール®)脊柱管狭窄症で用いられることがある。PGE2誘導体製剤;・ベラプロスト(ドルナー®、プロサイリン®)が経口剤。 肺高血圧症にも適応
2) cAMP濃度とカルシウムイオン濃度に関係する薬剤
1.チエノピリジン誘導体;・塩酸チクロピジン(パナルジン®);
血小板減少症(TTP)や肝障害を注意深く観察していく必要がある。脳梗塞、くも膜下出血後の合併症予防に用いられることがある。・クロピドグレル(プラビックス®); 副作用少ない。虚血性心疾患やアテローム血栓性脳塞栓でも用いられる。 クロピドグレル、チクロピジンは血小板同士の結合を促す物質(ADP)が血小板表面にある受容体へ結合するのを抑え、血小板の働きを抑制。・プラスグレル(エフィエント®); クロピドグレルを上回る心血管イベント抑制効果
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2. PDE3阻害;・シロスタゾール(プレタール®);
心原性脳梗塞症の他、閉塞性動脈硬化症の疼痛改善効果も報告されている。ホスホジエステラーゼを阻害すると細胞内の環状アデノシン一リン酸濃度が上昇し、血小板が凝集しない。副作用として心拍数が増え、それを動悸と感じる場合がある。除脈の患者には有利に働く。
3. 5−セロトニン受容体2拮抗剤;・塩酸サルポグレラート(アンプラーク®); 血小板に存在し、血栓ができるときに凝集を促進する、5-HT2受容体の拮抗剤。
3) 血小板凝集に関わる受容体グリコプロテイン IIb/IIIaを遮断する薬
引用文献)循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン;循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2008年合同研究班報告の2015年10月改新版);合同研究班;日本循環器学会、日本冠疾患学会、日本胸部外科学会、日本血栓止血学会、日本小児循環器学会、日本神経学会、日本心血管インターベンション学会、日本人工臓器学会、日本心臓血管外科学会、日本心臓病学会、日本脳卒中学会、日本脈管学会、日本臨床血液学会